農と食のこと

お気に入りのサツマイモを選んでみよう

 十五夜(今年は9月24日)をすぎると店頭でもよく見かけるようになるサツマイモ。ホクホクとした食感のもの、ねっとりとした食感のものなどいろいろな種類があることをご存知でしょうか。町田でよく売られているのは4種類。次のような特徴があります。

 このように比較してみると、品種によって甘みなどにばらつきがあることが分かります。サツマイモはでんぷんが糖分に変わるため、通常は掘ってから1カ月以上おくと甘みが増します。次に、品種やそれぞれに合う調理法を見てみましょう。

ベニアズマ

 皮は濃い赤紫色で、果肉は淡黄色をしており、加熱すると黄色みを増します。甘味が強く、繊維が少なめで、粉質のあるホクホクとした食感と水分の多いねっとりした食感の中間。焼き芋や蒸し芋、天ぷらや菓子作りの材料など幅広い用途で使われています。特に天ぷらがおすすめです。

べにはるか

 形は紡錘(ぼうすい)形。甘味が強く、しっとりとした肉質です。蒸し芋にした時の糖度が高く、焼き芋やスイートポテト、天ぷらなどに適しています。収穫直後でもおいしく食べられます。また、調理後に冷めてもおいしいサツマイモです。

シルクスイート

 最近人気が高く、皮は濃い赤紫色、果肉はクリーム色で、形はふっくらとした紡錘形をしています。貯蔵性にも優れ、取れたてで焼くとホクホク系の甘い焼き芋になるのですが、十分に貯蔵したものを焼くと、ねっとり系の甘い焼き芋に変わります。1つのサツマイモで2つの味を感じられるちょっと変わった特徴を持っています。

安納芋

 甘味が強く、加熱すると水分が多く粘質性の高いねっとりとした食感になります。蒸し芋や焼き芋の他にも、美しいオレンジ色を生かして、スイートポテトやきんとんなどにも向いています。

保存方法

 サツマイモは暖かい所で栽培されるものなので、冷蔵庫に入れておくと低温障害を起こし、傷みが早くなります。
 そのため、新聞紙などに包んで冷暗所に置いておくと良いでしょう。適温は10度~15度といわれ、18度を超えると発芽し始めてしまいます。適温では数カ月は保存が可能です。真冬は冷暗所が冷蔵庫より低い温度になる可能性があるので要注意です。
 世界には3,000~4,000種ものサツマイモがあるといわれていますが、日本で栽培されているのは数十種類ほど。人気のある品種同士のかけ合わせや、選抜や改良などで、新しい品種も生まれてきているので、自分のお気に入りを見つけるのも楽しいかもしれませんね。サツマイモを選ぶ時は、色や形だけでなく、お気に入りの品種を選んでみてはいかがでしょうか。

きずな.2018年 秋号_No.50掲載