土づくりにおける堆肥の重要性
野菜づくりに適した土壌条件にするには
下記に挙げたものは、別々に機能するものではなく、一体的で総合的に働くものです。また、養分に富んだ土壌にするには、ただ肥料を多量にやれば良いということではなく堆肥を畑に入れて深く耕すことが重要です。
【水はけと通気性が良いこと】
雨の日など土壌に過剰な水が入り込んだとき、水が通るための隙間がないと根腐れや病気の原因になってしまいます。
【水持ちが良いこと】

土壌には水が25~30%含まれている必要があります。
【肥料分に富むこと】
土壌に保肥性がないと水の流れとともに流出してしまいます。根が養分を吸い上げられるよう保肥性が必要です。
【耕土が深いこと】

野菜の種類により根張りの深さは異なりますが、有機物の施用と深耕で、根が自由に入るやわらかい土を作ります。耕土が浅い場所では客土も必要です。
【病原菌や害虫が少ないこと】
土壌病原菌や土壌センチュウがおらず、微生物が多く生息していること。土壌に生息する微生物は土壌の養分を野菜が吸収しやすいように変化させる力があり、有害な病原菌の増殖も防ぎます。
堆肥の施用効果
【病原菌や害虫が少ないこと】

堆肥には、土づくりの三要素である「物理性」、「化学性」、「生物性」を改良する効果があり、適正に施用することで総合的な土壌改良効果が期待できます。
【物理性改良効果】
堆肥を連用すると土壌の有機物が増加し、砂や礫、シルトなどの土壌粒子同士が結合して土のつぶ(土壌団粒)が形成されます。土壌に団粒構造ができると団粒間の比較的大きな隙間により通気性と透水性が向上し、土壌はやわらかくなります。また、団粒内部では微細な隙間により保水性が向上します。
【物理性改良効果】
堆肥には多くの微生物が含まれており、施用によって土壌中の微生物が増加するとともに、多様化します。堆肥の施用によって有機物含量が高まり、微生物は有機物を餌として増殖します。微生物の働きが活発になると有機物の分解が促進され、有機物に含まれる養分の供給力が高まります。
【化学性改良効果】
堆肥には、窒素、リン酸、カリ等の多量要素だけでなく、マンガン、鉄、亜鉛、ホウ素等の微量要素も含まれています。微量要素はなかなか増やすことができません。そこで堆肥を入れることで補えます。これらは作物に対する総合的な養分の供給源となります。堆肥を連用した土壌では、腐植含量が高まるだけでなく、これらの養分濃度が次第に高くなります。
こまめに堆肥を施用しましょう
堆肥を施用すると、1年ですべてが分解されるのではなく、一部が未分解のまま土壌中に残り、継続的に施用することで堆肥の効果が増加していきます。この効果は、堆肥の種類によって異なりゆっくりと分解される牛ふん堆肥がより効果を期待できます。