農と食のこと

努力を積み重ねた農業人生
挑戦する姿勢を大切に

廣田 文男さん
南大谷

廣田 文男さん(80)南大谷

 農業歴が65年にもなる廣田さんですが、今でも初心を忘れずに野菜作りの勉強会に出かけたり、積極的に情報を収集するなど、工夫しながら野菜作りを続けています。「ザーサイの栽培には2年続けて失敗していますが、失敗してもめげずに挑戦しますよ」と笑顔で話す廣田さん。町田市の農業を支えてきた“功労者”の挑戦は、まだまだ続きます。

 小田急線町田駅と玉川学園前駅の間に位置する南大谷で農業を営む廣田文男さん。中学校を卒業した15歳の時に家業である農業を始め、それから65年間農業一筋で歩んできました。耕作面積は約34アールあり、そのうち約3分の1に当たる11アールほどにビニールハウスを6棟建て、夫婦二人三脚で経営しています。
 最近ではNPO法人による営農支援を受けるなど、妻・ふじえさんに負担がかからないよう気遣いながら農業に励みます。

地域の仲間と共に歩む

取れたての新鮮野菜を丁寧に並べる廣田さん

 廣田さんは若い頃、農業の傍ら近所の仲間たちと集まり、趣味の草野球や民謡などに興じました。早くから消防団にも入団し、時には部長職を担当しながら27年勤め上げるなど、地域のために歩んできました。
 農業を始めたばかりの頃、冬に灯油配達のアルバイトなどで貯めたお金と、東京都や町田市の補助金を活用してビニールハウスを建てましたが、業者には頼まず、組合員など、地元の仲間たちと協力しながら力を合わせて組み立てました。
 農業をしながらアルバイトや消防団で活動したり、趣味の草野球や民謡に参加したり、忙しい毎日を過ごしながら地域の仲間たちと共に歩んできました。

90歳まで現役を目標に

 廣田さんはNPO法人による営農支援を受けながら、「アグリハウスまちだ」に多くの種類・量の野菜を出荷しています。また、市場には出回っていない珍しい野菜の生産にも挑戦するなど、野菜の研究に余念がありません。野菜の種は九州の種苗会社から毎年2回取り寄せます。昨年の冬には、「大紅とうがらし」や「青緑大根(葉を食べる大根)」などの栽培に挑戦しました。時には栽培が上手くいかず失敗が続くこともありますが、試行錯誤を繰り返し、より良いものを作れるように日々努力を続けています。「諦めない心を持つ事が肝心」と話す廣田さん。野菜が上手く育ち、良いものを出荷できることがとても楽しく、その楽しさが野菜作りの原動力になっています。目標は、90歳まで野菜作りを続けることです。

より良い野菜作りを目指して 町田地区野菜部会と連携

 独自に栽培のコツを身に付けてきた廣田さんですが、野菜の質をより良くしていくことを目指し、町田地区野菜部会のメンバーと野菜栽培の成功例や失敗例をはじめ、さまざまなテーマで意見や情報の交換を行っています。このような取り組みのおかげで、「アグリハウスまちだ」には、新鮮でおいしい地場野菜がたくさん並んでいます。
 前向きで研究熱心な廣田さん。毎日直売所に軽トラックでやってきて、新鮮な野菜を届けてくれています。

きずな.2018年 春号_No.48掲載