農と食のこと

地域との触れ合いを大切にしながら
多様な品目を通年出荷し地域農業をけん引

佐藤 元泰さん(49)
上小山田町

 佐藤元泰さん(49)が就農したのは今から15年ほど前。当時は畑違いの業種からの就農だったこともあり、右も左も分からない状況でしたが、父に教わりながらひたむきに生産に取り組んできました。今では生産の傍ら、アグリハウス忠生の販売部長を担うまでに。そんな佐藤さんのモットーは通年でおいしい野菜を届けること。昨年からハウスを増設し生産に意欲的に取り組むなど、都市農業をけん引するリーダーとして活躍しています。
(取材担当 忠生支店:新谷拓己、竹下遼)

“自分がやるしかない”
使命感を抱き就農を決意

収穫した農作物を前に、笑顔がこぼれます

 佐藤さんが就農したのは、およそ15年前。当時は運送会社で働く傍ら、約400アールの畑を父と2人で、時には援農ボランティアの方々に手伝ってもらいながら管理していました。就農の転機となったのは、消防団や地域の役員などを務めていた父の外出が増え、畑に出る時間が取れなくなってきたこと。これをきっかけに「自分が農業をやるしかない」という使命感が佐藤さんの中に芽生え、就農することを決意しました。

 しかし、畑違いの運送業からいざ就農すると、はじめは分からないことだらけ。父に手取り足取り農業に関する基礎知識を教わりながら、分からないことを一つ一つ解決していきました。現在は葉物野菜を中心に約200アールの畑を一人で栽培管理し、おいしい野菜を毎日出荷できるよう努めています。

コミュニケーションが
直売所を良くするカギ

増設したハウス。今後の栽培にますます力が入ります

 こうして営農技術を確立してきた佐藤さんは、昨年からアグリハウス忠生の販売部長を務めています。値決めやトラブル対応のほか、各種イベントも取り仕切ります。

 販売部長を務める上で心掛けているのは、生産者同士の日常的なコミュニケーション。励まし合うことで、一人一人の出荷量が増え、生産者同士の仲が一層深まるという効果が出ています。

 さらに佐藤さんのコミュニケーションは忠生地区内だけにとどまりません。販売部長として新鮮な野菜を提供し、アグリハウスを良くするために他地区の生産者と連絡を取り合い、在庫状況を確認して店舗間で野菜を融通し合うなど、協力体制を築いています。

“おいしい野菜を届けたい”
ハウス増設で通年栽培へ

自慢の農作物を出荷する佐藤さん

 年間を通しておいしい野菜を消費者の皆さんに届けたい――。こうした思いから2019年12月、都市農業活性化支援事業を活用しハウスを3棟増設しました。いずれも葉物野菜の栽培に特化したもので、冬の時期にはサニーレタスやレタス、小松菜等を栽培しています。

 これまで露地栽培をメインに行ってきましたが、近年の自然災害による影響は大きく、昨年の台風では品目によっては出荷することができないなど苦い経験をしたという佐藤さん。何度もまき直しを行うなど対応してきましたが、今回のハウスの増設でより安定的に出荷ができるようになりました。

 今後については「販売部長として、安定して野菜を皆さんに届けられるように頑張っていきたい」と語ります。熱い思いで町田市の農業を引っ張る頼もしいリーダーの姿がありました。