農と食のこと

ベランダでできるキッチンガーデン

第8回:チンゲンサイ(アブラナ科アブラナ属)

土壌医 藤巻久志

 チンゲンサイやタアサイなどの中国野菜がスーパーに並ぶようになったのは、日中国交正常化前年の1971年の広州交易会に参加した種苗会社が種を日本に持ち帰ったからです。

 チンゲンサイやタアサイの種は、すでに遣隋使や遣唐使の時代に日本に持ち込まれていたはずです。それらが根付かなかったのは、アブラナ属の野菜だからです。ほとんどのアブラナ属は他家受粉で、周りに菜の花が咲く畑では、他のアブラナ属と容易に交雑し、品種独自の形質を維持できません。今は採種技術の向上により、安定した品質の種が供給されるようになっています。

 チンゲンサイは、1970年代は青軸パクチョイや青茎パクチョイとも呼ばれていました。1983年に農林水産省が流通の混乱を防ぐためにチンゲンサイに名称統一しました。漢字では青梗菜と書き、梗は芯の堅い茎を意味します。

 チンゲンサイは生育期間が短く、暑さ、寒さに強い野菜です。4月から10月まで種まきできます。春まきや夏まきはアオムシやヨトウムシなどに食害されやすいので、被害の少ない秋まきの方が栽培は楽です。

 日当たりと風通しの良いベランダならプランターで栽培できます。深さ10cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、条間10cmの筋まき、または10cm×5cmの点まきをします。順次間引き、本葉3〜4枚で1本立ちにします。農薬を使用しないキッチンガーデンでは、間引きした物も間引き菜としてみそ汁の具などに利用できます。

 土が乾燥すると肥料の効きが悪くなり、生育も鈍化します。水やりは朝やって、夕に土の表面が乾く程度にします。追肥は1週間置きに1000倍の液肥を施します。

 秋まきでは40〜60日で収穫できます。草丈15cmが目安です。チンゲンサイは中国野菜ですが、おひたし、グラタン、油炒めなど和洋中に利用できます。

第8回:チンゲンサイ(アブラナ科アブラナ属)

※藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

※掲載内容は「JA広報通信」より引用したものです。