ベランダでできるキッチンガーデン
第10回:パセリ(セリ科オランダゼリ属)
土壌医 藤巻久志
野菜は文化です。野菜の種は、人と情報の多い所に集まります。都があった奈良・京都、参勤交代が行われた江戸、開港した横浜に種苗商が栄えました。パセリは18世紀にオランダから長崎に伝わり、オランダゼリともいわれ、種は明治時代からは横浜港に多く入荷しました。
キッチンガーデンという言葉が多く使われるようになったのは、「ガーデニング」が新語・流行語大賞トップ10に選ばれた1997年ごろからでしょうか。キッチンガーデンは直訳すれば台所の庭。台所にあって重宝するのがパセリです。
パセリは料理の添え物というイメージが強いですが、ビタミンやカルシウム、鉄分を多く含んだ利用価値の高い野菜です。サラダやスープ、天ぷらなどにも使用されています。
国内の栽培は縮葉種(カーリーパセリ)がほとんどでしたが、近年は平葉種(イタリアンパセリ)も増えています。太った根を食用とする品種(ルートパセリ)もあります。
パセリは一度にたくさん食べるものではないので、ベランダでプランターや6号(18cm)以上の鉢で栽培すると良いでしょう。パセリの苗は一年中売られています。
種からでも簡単に育てられます。春まき(3〜4月)、初夏まき(6月)、秋まき(8〜9月)ができます。日当たりと風通しの良い、冬に北風の当たらない場所で育てます。
プランターや鉢に市販の培養土を入れ、株間10cmで4〜5粒の点まきをします。好光性種子なので、覆土はごく薄くします。発芽するまで乾燥しないように気を付けます。順次間引きし、本葉4〜5枚までに1本立ちにします。追肥は1000倍の液肥を1週間置きに施します。水やりは朝やって、夕方に土の表面が乾く程度にします。
本葉が15枚以上になったら、下から2〜3枚ずつ収穫していきます。株が弱らないように、いつも10枚以上の葉を残すようにします。
※藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。
※掲載内容は「JA広報通信」より引用したものです。