農と食のこと

直売所出荷は〝皆勤〟5年 キクイモが人気商品に

内田 一さん
小山町

内田 一さん(67) 小山町内田 一さん(67) 小山町

 内田さんの趣味はスキーです。普段は野菜作りにいそしみますが、冬は少し手を休め、スキー場に繰り出します。「野菜作りもスキーも、一度として同じものがない。そのスリルが楽しい」と笑顔で話す内田さん。年を重ねた今でも年6回はゲレンデで爽快な滑りを楽しんでいます。

 内田一さんは、台風や雪の日にも欠かさずJA町田市「アグリハウスさかい」へ野菜を出荷し続け、今年4月には5年〝皆勤〟を迎えました。足しげく畑に通い、手間暇かけた内田さんの野菜は、目の肥えた同店の常連客からも好評です。さらに、堺地区で栽培するのは内田さんだけというキクイモは人気商品の一つです。

小さな積み重ねを続ける姿に信頼厚く

 内田さんは、「地元の新鮮な野菜を求めて来店するお客さまの期待に応えたい」と、アグリハウスさかいに休むことなく取れたての野菜を出荷し続け5年になります。さらに、毎週日曜日に堺支店の駐車場で開催される「日曜朝市」にも積極的に参加しています。畑から直送の野菜を積んだ軽トラックがそのままお店になる“軽トラ市”です。

 消費者のニーズに応えようと努力する内田さんは、その人柄により過去には野菜部会長を2年務め、今年度は資産管理部会長にも就任しました。

農作業好きは子どものころから

 内田さんが農業を本格的に始めたのは、勤め先を早期退職した57歳の時です。

 しかし、実際の農業歴となると、小学校5年生のころにさかのぼります。

 当時、内田さんの家では、今は閉鎖してしまった相模原市場に野菜を出荷していました。少年だった内田さんは、自転車で市場に野菜を運ぶ手伝いもしていたそうです。

 社会人になってからも、会社勤めをしながら父親の作業を見よう見まねで農作業に従事してきました。結婚後は妻の志津枝さんも農作業に加わるようになりました。内田さんが仕事で留守の間は、志津枝さんが代わりに畑に出て作業してきました。

 長年農業を手伝ってくれている志津枝さんに「苦しい時もよくついてきてくれた。本当に感謝しているよ。いつもありがとう」と優しい言葉をかけます。

キクイモは地域外の客も呼ぶ人気商品

 本格的に農業をするようになった内田さんの座右の銘は、「足しげく通うことが畑の栄養になる」。時間があれば畑を見回ります。また、病害虫の被害を未然に防ぐためにネットを作物にかぶせるなど、工夫をしながら農薬使用を最低限に抑えています。さらに、除草剤を一切使わないことにもこだわっています。

 そんな内田さんの野菜は、アグリハウスさかいの常連客からも好評です。中でも内田さんのキクイモは大人気。キクイモは、生のまま食べられるだけでなく、煮る、焼く、揚げるといった加熱調理をしてもおいしく食べることができます。また、血糖値の上昇を防ぐ働きがある「イヌリン」を豊富に含み、糖尿病の予防や改善に役立つと言われています。

 内田さんがアグリハウスさかいへ出荷するキクイモは、スーパーマーケットなどで買うよりも安く手に入るとあって、わざわざ他の地域から来店して買い求める客がいるほどです。

 喜んでくれるお客の声に応えるため、内田さんは新鮮な野菜を出荷し続けています。

出荷皆勤5年を支える妻・志津枝さん(右)
出荷皆勤5年を支える妻・志津枝さん(右)

きずな.2017年 夏号_No.45掲載